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お姫様 #37

ss「ジュウオウジャー」より。cp:レオ×セラ、タスク×アム



 

leftお姫様right

 

 

 

「タスクくん!大変!大変なの!」

朝食後、食器を洗っているタスクに、アムが駆け寄った。

「どうした?」

「駅前のケーキ屋さん、期間限定のロールケーキ売り出すんだって!今日だけなんだって!」

アムはタスクの目の前にチラシを突きつけた。

「…大変…なのか?」

「大変なんだよ!急いで並ばないと売切れちゃうかも!」

「じゃあ、並べばいいじゃないか」

「それがだめなの…」

アムが肩を落とす。

「どうして」

「だって、私今日は掃除当番でしょ?さぼって並ぶ訳にはいかないよ。皆に迷惑かけちゃう」

 

「……」

(いつもはすぐサボるくせに)

話が読めてきた。

タスクは目を細めた。

 

「それで?」

「タスク君は今日は買出し当番でしょ?今すぐ出発して買ってきて!あ、洗い物の続きは私がやっておくから!」

「…単に自分で並びたくないだけだろ」

「そんなわけないじゃない。当番さぼるなっていつも言ってるのはタスク君の方でしょ?」

タスクは口をつぐんで食器を洗い続けた。

アムの屁理屈に丸め込まれる気はない。

 

(ハロウィンのお姫様騒動から、アムのわがままがひどくなったような気がするな)

それも対象はタスクだけに集中しているような気がする。

 

「早めに掃除を終わらせて行けばいいだろう」

「だめだめ、売り切れちゃう。このケーキ今日だけなんだよ!今日を逃したら二度と食べられないんだよ?それに、こんな特別なケーキ、皆も絶対食べたいよ!これはわがままじゃなくて皆の為なんだから!」

こうなるとアムの口は止まらない。

自分の要求が通るまでしゃべり続けるだろう。

 

タスクはため息をついて、エプロンを外した。

「わかったよ、お姫様」

 

「……」

アムが固まった。

「…?」

よろこんで飛び跳ねるかと思っていたタスクは、不思議そうにアムの目を覗き込んだ。

アムは慌ててタスクに背を向けた。

「…どうせ、タスク君の『お姫様』って『わがまま』って意味なんでしょ」

「え?何?」

「なんでもない!」

アムは笑顔で振り向いた。

 

「よろしくね!王子様!」

「…!」

今度はタスクが固まった。

 

何気なく「お姫様」と言ってしまったが、もしかしてこれはものすごく恥ずかしい台詞だったのではないだろうか。

「あ、いや…あれは…」

タスクは弁解しようとしたが、アムは人差し指でタスクの頬をぐりぐりと押して、逃げていってしまった。





 

....................................


 

「ええい!もう投げちゃえ!」

キューブを敵に投げつける。

『ジュウオウオクトパス』

ジュウオウオクトパスが覚醒し、敵を攻撃しはじめた。

 

「やったあ!」

「よっしゃ、行け行け!」

セラとレオが歓声を上げる。


 

「レオとセラのスパルタ教育のおかげでなんとかなったって感じかな」

大和は苦笑して左右の二人を見比べた。

「レオとセラの子供は苦労しそうだけどね」

「はあ?」

セラが勢い良く振り向いた。

「なんで私がレオの子を生まなきゃいけないのよ!」

怒髪天で大和に詰め寄る。

 

「い、いや、二人の間の子供って言う意味で言ったんじゃなくて…」

大和は椅子からずり落ちそうになりながら弁解した。

「……!」

セラは真っ赤になった。

「あ…えっと…もう!まぎらわしい言い方しないで!虫唾が走るから!」

恥ずかしさを誤魔化そうと、セラは更に怒って大和の胸倉を掴んだ。

 

「いいじゃねえか。俺達のスパルタ教育で百獣の王に育てようぜ!」

レオは腕を頭の後ろに組んで能天気に笑っている。

「あんたは黙ってなさい!」

セラは掴んだ大和をレオに投げつけた。




 

END

 

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